壮大な歴史の謎『ダ・ヴィンチ・コード』映画版

こんにちは! 物語屋のひっひーです。先月アマゾンプライムに入会しまして、映画を1ヶ月で20本以上観たのですが、その中でも抜群に面白かった1本をご紹介したいと思います。

トム・ハンクス主演で2006年の映画『ダ・ヴィンチ・コード』です。

ダ・ヴィンチとは、お察しの通りレオナルド・ダ・ヴィンチのことです。そのコード(暗号)? いったい何だ? とタイトルからも興味をそそられます。

実はこの物語、ある夜ルーヴル美術館の館長が殺害されるところから始まるんですが、その館長がダイイング・メッセージを残していて、それがダ・ヴィンチと関わりのあるものだというんです。

何だそれは! 滅茶苦茶面白そうじゃないか! ということで観てみますと、面白かったです。

さあ、それでは早速『ダ・ヴィンチ・コード』の概要を見ていきましょう!





あらすじ

研究発表会のためパリを訪れていたハーバード大学教授ロバートの元にパリ市警がやって来て、ある殺人事件について意見を聞きたいと言います。ロバートはサイン会の途中でしたが、刑事に渡された一枚の写真を見て表情を変えます。

それはルーヴル美術館館長ソニエールが殺害され、その周囲にあるものが血で模られているという奇妙なものでした。その奇妙な形というのが、

レオナルド・ダ・ヴィンチのデッサン、ウィトルウィウス的人体図を模したものでした。ソニエールは円を描き、その中で大の字になって、そして胸には六芒星を記し、さらにはその傍にダイイング・メッセージと思われる言葉が残されていました。

実はこのダイイング・メッセージ、警察によって手の加えられたものでした。

というのも、ソニエールのダイイング・メッセージにはロバートを探し出して託せという内容が含まれていたのですが、ロバートを現場に連れる前に警察がそれを消し去ったのです。ロバートとソニエールは会う約束をしていました。つまり警察は、ロバートを容疑者として美術館に連れて来たのです。

そこに一人の女性が現れます。ソニーです。ソニーは外交官を名乗りますがこれは嘘、その正体は殺されたソニエールの孫娘です。ロバートはソニーから警察が自分を殺人犯として逮捕するつもりでいることを聞かされます。

そんな中、ロバートはソニエールのダイイング・メッセージをアナグラムだと見抜き、ある結論を導き出します。それが「ダ・ヴィンチ」でした。

ダ・ヴィンチの絵の裏には百合の紋章が装飾された鍵が隠されていました。この鍵を、ある人間が狙っているのです。その鍵は金庫の鍵となっており、さらにはパスワードが必要で、一度間違えると二度と取り出すことはできなくなります。

その鍵で金庫を開けると、中からはさらなる暗号が。それを解くと、聖杯の在処を示す地図が入っているのですが、こちらもパスワードを間違えると中の機械が作動して水が飛び出し、地図は読めなくなってしまいます。パスワードがわからないため、簡単に解錠を試みることもできません。

美術館を抜け出したロバートは旧友リーの屋敷を訪れ、意見を仰ぎます。

そこで事件の裏側に潜むとんでもないことを耳にすることになるのです。

それは失われた聖遺物、聖杯を巡って事件は起きているというものでした。聖杯とは、キリストが使った杯のことですが、これをダ・ヴィンチは絵画にしています。

そうです。『最後の晩餐』です。

最後の晩餐でキリストが使った杯こそ聖杯なのですが、ダ・ヴィンチはこの絵の中にある暗号を残しているというのです。

裏切り者のユダかな? いいえ、違います。今回焦点が当てられるのは聖杯です。ですが肝心の聖杯というのはキリストが使った杯ではないというのです。

では何か、それはキリストの左隣の人物との間にできる空間のことだというのです。

どういうことか。

これはまず、ある説を知る必要があります。『ダ・ヴィンチ・コード』の中では生涯独身だったキリストがマグダラのマリアと結婚していて、マリアの産んだ子供が現在までその血を受け継いでいるという説が真実だと主張されています。

そしてそのマリアこそ、キリストの左隣の人物だというのです。左隣の人物は、よく見ると女性に見えなくもありません。そしてその女性とキリストの間には山の谷間のような形の空間があります。

聖杯とは、飲み物を飲む杯のことではなく、女性を指すというのがリーの主張です。男性記号である底辺のない三角形「^」こんな感じの記号に対して、女性の記号は「Ⅴ」となります。

このⅤ字型の記号がまさにキリストとマリアの間には存在し、マリアとキリストの位置を入れ替えてみると、驚くことにマリアがキリストの肩にぴったりと頭を添わせるのです!

つまり聖杯とは、マリアが宿したキリストの子供のことを指すというのです。キリストとマリアの間に生まれた子供は女児でした。詰まるところ、神聖を帯びた本物の聖杯とはマリアの遺体のことです。

ところが男性を権威の象徴とするカトリック教会はキリストの娘を継承者とは認めず、キリストの血を断つため魔女狩りを行ったのです。その後マリアの遺体と女児の子孫はシオン修道会によって匿われまわれました。

リーの屋敷に指名手配されているロバートを追って警察がやって来て、ロバートとソフィーはリーの自家用ジェットでフランスを抜け、聖杯の眠るロンドンへ向かいます。

ロンドンに入ったロバートたちは聖杯が眠る可能性があるテンプル騎士団の墓所に向かいますが、そこに聖杯はありませんでした。

ロバートとソフィーは聖杯を探すため、シオン修道会総長だったアイザック・ニュートンの墓所ウェストミンスター寺院に向かいます。ニュートンの墓所には様々な球体が装飾されていますが、ただ一つ、欠けているものがありました。

それこそが暗号を解く鍵なのですが……。





歴史と伝説とフィクション

キリストに子孫がいるとか、キリストとマリアが実は夫婦だったとか、いわゆる伝承にメスを入れたという点で『ダ・ヴィンチ・コード』は面白いですよね。証拠はないですし、この物語で語られていることが歴史の真実とは言えませんが、こうして様々な繋がりが見えてくると、本当はこうだったんじゃないかと思わされます。

それこそ歴史の魅力だとは思いませんか?

特にキリスト教の根幹に関わる問題が核となっているだけに、テーマは壮大で、まさに世界規模。

都市伝説を都市伝説で終わらせない、そんな説得力を持った物語だと僕は思いました。絵画だけじゃなく、楽譜や建造物にも様々な暗号が残されているかもしれないと考えるだけで、物を見る目が変わってきますよね。

キリスト、マリア、シオン修道会、十字軍、テンプル騎士団、ニュートン、ルーヴル、最後の晩餐、ダ・ヴィンチ……。歴史というのは必ず誰かの印象操作がなされています。なので史実といってもいいように脚色されていたり都合の悪いことは隠蔽されていたりするわけです。

それが都市伝説を生み、様々な論争が巻き起こってくるわけですが、それを徹底的に追求したからこそ、『ダ・ヴィンチ・コード』はただのミステリーじゃないし、ただの歴史ものでもないし、ただの冒険小説でもないんです。もちろん、ただの物語じゃありません。

衝撃的な面白さとはまさにこのことを言うのでしょう。

原作小説も映画も、どうやら『ダ・ヴィンチ・コード』に登場するロバートが主人公となったシリーズが存在するようなので、ぜひそちらも観たい! 読みたい! となりました。

歴史には謎があります。歴史には夢があります。そしてそこには、必ず物語が存在します。僕は今回、そう思わされました。

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございました。

『ダ・ヴィンチ・コード』その名に相応しい傑作だと思いました。やはり世界で最も多いキリスト教……恐るべしです。

日本人として、キリスト教とは縁がなく、聖書を日常的に読んで来なかった僕たちにはやや縁遠い世界の話のようにも感じますが、物語の壮大さ、歴史を読み解くスリル、そして現在起きている殺人事件の真相に迫る面白さは普遍的なものがあります。

小説は長いですし、映画でさくっと見るのがおすすめです! 映画でも、二時間半ありますが……(笑)

ですが上中下巻の原作を読むよりはサクッと内容が頭に入るはずです。もちろん、原作も読んでいただきたいと思っています。そういう僕も、原作は未読です。これから読もうと思っています。

本当に、この物語を知れてよかった。そう思います。『ダ・ヴィンチ・コード』です!






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