こんにちは! 物語屋のひっひーです。今回は世界十大小説に数えられる『アンナ・カレーニナ』をご紹介します。おっさん(トルストイ)の顔面だけだと華がないので、ハリウッド映画『アンナ・カレーニナ』のポスターも載せておきますね。(笑)
とはいえすべては語り切れません。なぜなら『アンナ・カレーニナ』は上・中・下巻と文庫本で三冊に分かれている大長編だからです。その内容は全八編、総ページ数は2000ページ近くあります!
よく読めたなそんな長い話……。我ながら褒めてやりたくなります。(笑)
何といってもロシア文学は長い。ロシア文学といえばドストエフスキー。ドストエフスキーも長いですよね。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』『白痴』……。
広大なロシアの大地がそうさせるのでしょうか……。まあ、そうした考察は置いておいて、今回は『アンナ・カレーニナ』です。
文学史に残る天才ドストエフスキーが認めた文豪トルストイの『アンナ・カレーニナ』。そのあらすじを見ていきましょう!
あらすじ
今回は僕が読んだ木村浩さん訳の文庫版の裏表紙に書かれている上中下巻のあらすじを繋げたものです。
モスクワ駅へ母を迎えに行った青年士官ヴロンスキ―は、母と同じ車室に乗り合わせていたアンナ・カレーニナの美貌に心を奪われる。アンナも又、俗物官僚の典型である夫カレーニンとの愛情の欠落した日々の倦怠から、ヴロンスキ―の若々しい情熱に強く惹かれ、二人は激しい恋におちてゆく。
愛情も人間性も理解せず、世間体を重んじる冷徹な夫カレーニンの黙秘的態度に苦しむアンナは、虚偽と欺瞞にこりかたまった社交界を捨て、ひとり息子セリョージャへの愛にさいなまれながらも、ヴロンスキ―との破滅的な恋に身を投じていく。一方、ヴロンスキ―がアンナを愛していることを知った失意のキチイは、理想主義的地主貴族リョーヴィンの妻となり、祝福された生活をおくり始める。
社交界も、家庭も、愛しい息子も、みずからの心の平安さえもなげうって、ヴロンスキ―のもとへ走ったアンナ。しかし、嫉妬と罪の意識とに耐えられず、矜り高いアンナはついに過激な行動に打って出てしまう……。ひとりの女性の誠実、率直な愛が破局へと向かってゆく悲劇を描きながら、新しい宗教意識による新社会建設の理想を展開して、『戦争と平和』と両翼をなす、文豪トルストイ不滅の名作。
一言で言えば不倫劇です。アンナはカレーニンという夫がいますが、愛想が尽きて若いヴロンスキ―と不倫関係になります。ヴロンスキ―はキチイと一時婚姻関係を結びますが、それを破談にしてアンナとの不倫に溺れます。そしてキチイに惚れていたリョーヴィンは一時ヴロンスキ―に破れますが、その後キチイをものにしていきます。
そうした群像劇でもあり、破滅へと進むアンナとヴロンスキーとの対比も描かれる、まさに一大巨編です。
名場面を心待ちに読むべし!
世界的名作なのはわかった。でも2000ページも読む自信がありません! そんなに気力が持ちません!
その気持ちはわかります。実際僕も、かなり時間を掛けて読みました。というのも、ロシア文学というのは名詞一つとっても複雑ですし、そもそも舞台となる時代背景が今とは違う。文化も違う……。慣れるまでは読みづらさを拭い去れません。
ですが『アンナ・カレーニナ』には物語を象徴する世界的名場面が存在します。それを知れば、皆さん「ああ! あれは『アンナ・カレーニナ』だったんだ!」となるはずです。
その名場面とは、アンナが命を落とす、悲劇の瞬間です。
アンナは駅のホームに入って来る蒸気機関車の貨物車の間に身を投げて自殺するのです。このシーンはあまりにも有名です。『アンナ・カレーニナ』以降、主人公が最終盤で駅のホームから身を投げる小説、映画も作られていますが、元をたどれば『アンナ・カレーニナ』に行きつきます。
それくらい有名で、後世の作家、映画監督に影響を及ぼした場面なのです。
どこまでも愛を求めたアンナ
実は『アンナ・カレーニナ』の中で、主人公アンナ・カレーニナが登場するまで150ページほどあります。長っ! いえいえ、この物語は2000ページあるのです。150ページなんて序盤も序盤です。
とはいえ長い。僕も読みながら、何度も表紙のタイトルを確認しました。「これ、アンナ・カレーニナだよな?」と。ですが焦らしに焦らして登場するアンナの優雅さは言葉にできません!
そのアンナが初めて登場する場面、何とそれは駅のホームなんです! つまりこの場面が悲劇的な結末の直接的な伏線になっているわけですが、そういった解説めいたことは置いておきます。
アンナは兄夫婦の浮気騒動を鎮めるため、兄に呼ばれて汽車に乗ってやって来るのです。そのホームでヴロンスキーと目が合い、悲劇への歯車が回り始めるわけですが、物語が幕を開けた当初、アンナは兄夫婦双方から話を聞き、夫の浮気が原因で別れようとする兄夫婦を宥めているのです。
そんなアンナが、壮絶な不倫劇を繰り広げ、やがて破滅へと突き進むのです。
カレーニンという高官の夫がいる。地位も名誉も財力も、そして愛すべき息子にも恵まれた。ただ、不足しているのは愛だけだった……。その愛こそ、アンナにとっては、いや、女性にとっては最も必要なものだったのです!
不倫はキリスト教では許されざる行いです。日本でも、かつて姦通罪という法律が存在し、不倫は犯罪として扱われていました。ロシアといえば、ユダヤ教から独自に派生したロシア正教ですよね。言ってしまえばキリスト教圏です。
不倫は当然、許されません。それに高官の妻のスキャンダルとなると、社交界ではすぐに噂となってしまいます。もはや後には引けません。それはつまり、社交界での死を意味します。
ですがアンナに必要なのは愛でした。地位も名誉も投げ捨てて、アンナは愛に生きたのです。そのアンナの生き様が、生々しくも情熱的に描き出された『アンナ・カレーニナ』。それはキチイとリョーヴィンが幸福を得る対比があってこそ、その悲劇性が際立つのです。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。世界十大小説に数えられる『アンナ・カレーニナ』いかがでしたか?
面白そう。ぜひ読んでみたい! でもやっぱり長過ぎて……。
そうですよね! もちろんトルストイの小説もぜひ読んでもらいたいんですが、『アンナ・カレーニナ』という物語に触れるなら、その手段は小説だけじゃありません。
『アンナ・カレーニナ』は映画化や舞台化も多くされている作品です。その中でも僕は今回、『パイレーツ・オブ。カリビアン』シリーズでエリザベス・スワンを演じたキーラ・ナイトレイがアンナを演じたハリウッド映画『アンナ・カレーニナ』を紹介しておきます。
映画なら、二時間ほどでその物語に触れられます。まあ、2000ページを二時間の脚本にしているので、端折られている箇所も少なくないのですが。
当時のロシア人は「まるで舞台の上で生きているようだった」と言われているらしく、それを表すために全編通して舞台上で物語が展開されていくという演出はなかなか面白いものです。
とにかく絶世の美女アンナ・カレーニナを演じるキーラに大注目です。キーラも美しいですよね!
小説でも映画でも、漫画でも構いません! これだけの名作に触れないという手はありません! ぜひ『アンナ・カレーニナ』の世界に浸ってくださいね。